にじいろふうせん

バルーンアート活動のいろいろを書いています。

奇跡はきっと、起こすもの

熱田神宮で、生まれて初めてご祈祷というのをしていただいてきました。
神社って、行くだけでも心が落ち着くところですね。

普段はお正月くらいしか訪れないのに、今年はこれで3回目(笑)

熱田神宮神楽殿

子供の頃からいく度となく訪れた神社ですが、物心ついてから神楽殿の中に入ったのは初めて。
(もしかしたら、記憶にない頃に連れてってもらってるのかもしれないけど(笑))

今だに漫画や小説の世界の話に思えて信じられないんですが、奇跡のような出来事があったんです。
ちょっと長くなりますが、お付き合いください。

人生初のご祈祷、ネットで調べた情報に則り、きちんと身体を清めてから行こうと決めてました。
だから、朝はいつも通り6時半には起きようと思ったのに、こんな日に限っていきなり寝坊。

それでも何故か慌てて準備をすることもなく、いつものように具沢山のスープとパン、フルーツヨーグルトという朝食を食べ、お風呂を準備。
オレンジの香りのバスソルトを加えた湯船で、お清め、お清めと思いながら、いつもより少し念入りに身体を洗いました。

8時には家を出ようとしていた計画は丸潰れ。
出発したのは、9時半頃でしたでしょうか。

熱田神宮神楽殿内部

ようやくたどり着いた神宮でご祈祷の受付を済ませ、案内されたのは10時半の回。

待合用の部屋で無料提供されているお茶など飲んで時間が来るのを待っていたんですが、入場の呼び出しがかかった時に、なぜかトイレに行ったんです。
それまでいくらでも行ける時間あったし、別に30分のご祈祷に耐えられないほどでもなかったのに、何となく。

そして、戻ってきたら時すでに遅しでシャットアウト。
閉め切ったあとは、一切、受け入れてくれないそうです。

受付の方からは

 

『11時の回までお待ちください』

 

と言われ、とりあえず受けられることが分かって一安心。

御祈祷のタスキ

時間を気にして内心焦りながらも、何も状況は変えられない。
気持ちを落ち着かせて、次の時間が来るのを待ちました。

玉串を受け取って中に入ると、とっても丁寧に磨かれてライトアップされた舞台と、神聖な空気に少しだけ緊張。

最前列に座って始まりを待つ間、お隣に座ったご家族の3番目の子どもさんにじーーーっと見つめられたことをきっかけに、ご主人との雑談が始まりました。

最初は軽く挨拶程度で、お子様の年齢を聞いてみたりの当たり障りの無い会話。

見ず知らずの赤の他人だし、きっとこの先も会うようなこともないだろうから、と、本当にどうでもいいような話をしていたんです。

 

でも。

 

『今日はどうされたんですか?』

 

と質問されたことで、私は泣き出してしまいました。

 

実は、私の命の恩人とも言える大切な人が、とても重い病気にかかっています。
火曜日の夜に聞かされてからずっと、泣き通しでした。

ご飯も食べられるし寝られたし、ちゃんと日常生活は出来てたんですが、涙だけは止められなかった。

私の残りの命を全て捧げてもいい。
だから、あの人の病気を治してください。

深く願っては涙して、1日を乗り越えたばかりでした。

お隣に座った優しい目のご主人は、そんな私に手を差し出し、私の手を握ってくださいました。
その大きく力強い手は、あなたは独りじゃないよ、と教えてくれた気がします。

 

『うちの嫁は、ガンでした。

もうかなり危ないとこまで行ったんですが、今、あそこに座ってます。

副作用なんかも心配してましたが、帰ってきてから、この子、産んだんです』

 

膝の上に座っていた末っ子さんは1歳半。

 

七五三の綺麗なお着物に包まれたお姉ちゃんと話す奥様には、大変なご病気をされたことなど微塵にも感じさせない、素敵な笑顔がありました。

 

『人はいつかは死ぬんです。でも、彼女はそこにいます』

 

無邪気にキスをねだってきた6歳の長女さんとのやりとりのあと

 

『こんなことしてくれるのも、もうあと数年ですよね』

 

と微笑んだ姿には、少し寂しさを感じました。

 

“乗り越えた”人は本当に強い。
私もこのご主人のように、いつでも手を差し伸べられる人になろう。

 

止まらない涙をぬぐいながらそんなこと考えてました。

 

『彼女がガンだって分かった時からずっと、今も、もしかしたら再発するかも、っていう心配もあって、これ、ずっとつけてたんです』

 

ご主人が腕に付けていた数珠を見せてくれながら言いました。

いただいた数珠

 

『これ、あなたにあげます』

 

驚いて、ご主人の顔を凝視しました。
そして、そんな大切なものいただけません、と断ったんです。

 

『でもこれ、効果絶大ですよ』

 

私の腕には少し大きいその数珠を手首に直接はめていただき、私は、命のバトンを受け取った気がします。

この時に、思い出しました。
私は、強運の持ち主だった、ってことを。

 

現実を受け止められずに大泣きしていた私に、

 

『治る気満々でいるから。絶対帰ってくるから』

 

と、ご本人もおっしゃっていたのに、なぜ私はその言葉を信じようとしなかったんでしょうか。

見ず知らずの、ただ横に座っただけの私に、奥様の命を導いてくれた大切な数珠を譲って下さったご主人。
物語の世界だったら、私が去った後姿を変え、実は神様かその使いの人だった、なんてことになるんじゃないかと不謹慎に想像したりして。

ご祈祷が終わった後、全くいきさつを知らずにいた奥様にも事情を話し、お礼をいわせていただきました。

 

『運命は決まってます。あとは、それを受け入れる準備をするだけです。頑張ってください』

 

本当に、乗り越えた人の言葉は強い。
そう見送って下さったご主人の言葉を受けて、もう私の心から迷いは消えてなくなってました。

私はとてもエゴイスティックな人間で、共通の知人からメッセージをいただいたとき、

“本当に一番泣きたいのは、本人のはずだよ”

と書いてあるのを読むまで、自分の涙を止めることしか考えてませんでした。

結局この出来事を本人にお伝えしたときにも、たくさんの想いがあふれ、私はまた泣いてしまったんです。

 

『我慢せずに泣いていいよ』

 

そうやって微笑んでくれたけど、出来れば泣かずにいたかった。

奇跡って、起こるものだと思ってました。
でも、起こるのを待つのではなく、起きるって信じることも大事なんだって、今は思う。

 

もしも寝坊してなかったら。

もしも準備を早く終わらせて予定通りの時間で出発してたら。

もしも10時半の回でご祈祷を受けていたら。

 

このご主人と出会うことは無かったんです。

 

全く見ず知らずの赤の他人なのに、同じ想いを胸に抱いていた者同士、何か見えない力に引き寄せられた。

ご主人は、奥様が良くなることを信じた。
私は、彼が良くなることを信じたい。

想いがあればきっと伝わると教えてもらった。
実績を持ってるよ、と力強く言っていただいた。

 

今までの自分の行動には、後悔してしまいそうなことがたくさんありました。

 

だからこれからは迷いなく、後悔しないように、やりたいこと、やれることを全部やろう。

そう、固く誓いました。

 

でも、人間ってバカだなぁって思います。
後悔しない様に生きるなんて、何度目の誓いだろう、って感じなんです。

 

今回の私には、命のバトンがついてるから、きっと大丈夫。

空

だってほら、今日もいい天気だったよ☀